アフリカツメガエルの発生の説明
このページではカエル胚の発生について、簡単に説明します。
初期卵割期胚 (上左)
写真左が初期の 卵割期胚 です。ここでは2細胞期、4細胞期、8細胞期が見えています。胚の頂上の
点を動物極、また上側半分を動物半球と呼びます。動物半球は黒い色素をもつことが特徴となっています。反対に
下側の頂点を植物極といい、また下半分のことを植物半球と呼びます。植物半球は白色となっています。
始めのころの卵割は同調しており、卵割面を90°ずつずらしながら、細胞数が2倍2倍と増えてゆきます。
4細胞になったあと、8細胞になるときに水平面での卵割が入ります。このあと、桑実胚 を経て、細胞数が1000個
くらいになったものを 胞胚 と呼びます。胞胚の中には胞胚腔(卵割腔)ができており、やがて原腸陥入を始めます。
原腸胚 (上右)
写真右は 原腸胚 です。植物極側がたまたま上を向いているものを2つ入れてみました。白く見えている
ところに、黒いすじ状のリング構造が見えます。これが卵黄プラグです。原腸陥入が始まってしばらくすると大きな
卵黄プラグが出現し、さらに発生が進むと、細胞がどんどんと中へと陥入しながら、覆いこみ運動をするので卵黄プラグが小さくなります。
神経胚 (上左)
原腸陥入が終わった胚は 神経胚期 に入ります。左にあるものが神経胚であり、胚の表面の将来の背側にあたる場所
に神経板 (写真中のNP) と呼ばれる構造ができてきます。神経板は前方では広がっており、胴体部と後方では狭くなって
いるため、「しゃもじ」のような形をしています。これは脳 (写真中のBr) が脊髄よりも大きいことを反映しています。
神経胚後期になると、神経板が中央部や後方で閉じて管状の構造になります。最後には前方も閉じて、神経板が全て閉じることにより
神経管ができあがります。
尾芽胚 (上右)
神経管が閉じてからは、 尾芽胚 と呼ばれます。この時期は、さまざまな臓器が形成される器官形成期になります。写真
はさまざまな方向を向いた尾芽胚初期のものです。頭部から頚部にかけて、大小さまざまな凹凸ができており、これらは、眼や
エラや腎臓になります。また胚全体がまるい形から、前後に伸びながら扁平になってゆきます。背中側には脳や脊髄や筋肉が分化し、
一方腹側は卵黄の塊をふくんだ消化管へと分化してゆきます。
個人的には、この神経胚から尾芽胚初期までの形がいちばん気に入っています。
孵化前後(上左)
胚は卵黄膜という膜の中で発生してきましたが、約2日間の胚発生を経た段階 (写真上左の下に写っている段階)
で、タンパク質分解酵素が胚外に分泌されるために、卵黄膜が消化されて中の胚が外に出てきます (孵化)。孵化して
独力で泳ぐようになると名前が胚からは幼生へと変わります。カエルの場合の幼生名はオタマジャクシです。メラニン色素が
各所で合成されて、眼や色素胞が黒く色づく他、尾ヒレが成長し、体内での器官形成も進行します。また口の部分にはセメント
腺があり、しばらくの間はここから粘液を出して水面上などにくっついて過ごします。
オタマジャクシ幼生 (上右)
オタマジャヤクシ幼生の体は透明化し、頭部がエラの発達により膨らむ一方で腹部の卵黄は消費されて小さくなります。
そして左の写真のような左右に偏平な形から、右の写真のように背腹に扁平な形に変わります。中が透明なので、消化管がぐるぐる
ととぐろを巻いている様子や、腎臓や耳石や胸腺、さらに心臓の拍動など、いろいろなものが見えます。セメント腺は退化して、かわり
に口が開き、泳ぎながらエサをとるようになります。エサを与えて育てれば、数ヶ月後には変態して小さなカエルになります。
大人になるのは、それから2年以上たってからとなります。
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