(図4↑)
そこで実験です。この写真は、左側が正常な尾芽胚の筋肉を抗体で染めたものです。体節に由来する筋節と、筋節から腹側へと動いてできた腹筋(腹側体壁筋)が茶色に染まっています。その他、目を動かす筋肉なども少し染まっています。右側はtbx6のmRNAが正常にできないようにしたノックダウン胚です。tbx6をノックダウンすると、筋節の骨格筋が減少し、節の境目がまったく判別できなくなります。さらに腹側体壁筋は全くといってよいほど分化しません。
(図5↑)
この写真は、図4と同じようにtbx6をノックダウンした胚をさらに育てたもので、*の印のついた側が蛍光トレーサーを注射した側です。写真の左側は蛍光トレーサーと共に5misと呼ばれる対照物質を注射した写真であり、正常な頭部およびエラの軟骨が観察できます。右側は蛍光トレーサーと共にTbx6のノックダウン物質を注射したものであり、頭部の縮小が観察され、軟骨染色の結果をみても注射した側の軟骨分化が著しく阻害されていることがわかります。(外形は背側から、軟骨は腹側から撮影したものです)。
以上を簡単にまとめると、tbx6の機能阻害によって、体節の分節形成不全、体節からの骨格筋分化が阻害され、さらに前方においては頭部神経堤からの軟骨形成が阻害されます。この後者の軟骨形成不全の理由ですが、咽頭領域に存在する沿軸中胚葉の分化が不十分であり、そのためにその領域へと下ってきた頭部神経堤の軟骨への分化が阻害されていると考えています。
当研究室はこのような カエルの発生におこるダイナミックな細胞分化や形態形成のしくみ を明らかにしてゆきたいと考えています。
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